アイちゃんの話(さよなら編)

前回の話から五年経った2002年のお話です。
その間アイちゃんは、毎日止まり木で日課のスリスリを軽くこなし
うるさいぐらいにビョリビョリさえずり、
兄貴と慕っている船長の後を追いかけて回る
立派なホモインコへと成長していました。

その頃の私の中の意識はというと、
船長とアイちゃんがとても仲良くしてくれているので
手が掛からず、ああ楽になったなぁ、ってなもんで
いつも具合はどうか、など見なくなってしまっていました。
今考えると悪い飼い主になってしまっていたわけです。

そして2002年二月。アイちゃんは少し吐いてしまいました。
ビックリした私はとりあえず保温をし、様子を見ました。
保温をすると、元気になり吐きも治まり ゴハンも食べている様子。
まぁこれなら医者に連れて行かなくてもいいだろうと
また軽く考えていました。

そして、4月の9日。
朝いつものように掛けていた布をはずし、餌と水を換えたときのアイちゃんはいつものアイちゃんでした。
いつものように仕事の支度をし、
鳥かごに近寄って鳥にいってきますの挨拶をしようと
覗き込んだとき、
そこにはいつものアイちゃんではなく、嘔吐物で顔が汚れてしまっている
アイちゃんがいました。
「これはまずい」そう感じた私は 会社に電話をし休みを取りました。
病院に連れて行っても連れて帰れると思い込んでいたのです。

前回出てきた医者は、意見が合わなくなって行かなくなっていました。
その時行っていたのは、今考えると、鳥が診れると言っている割には検便もしてくれないような、そんな医者でした。
鳥の保定がとても上手なので信用しきっておりました。

病院が開く午前9時を待って電話を入れ、9時半に予約を取り連れて行きました。
診断は、そのう炎。触診のみでの判断でした。
入院させてインキュベーターに入れ様子を見ましょう、 と言われ
平日は仕事でいないこともあり、お医者さんにお任せすることにしました。
その時見たアイちゃんが、生きている最後のアイちゃんになってしまったのです。

結局、餌の食いが徐々に悪くなり強制給餌もして頂きましたが受け付けなくなり
4月12日午後10時頃亡くなってしまいました。

翌日、アイちゃんを引き取りに言ったとき
一緒に飼っている鳥がいるなら、その子もそのう炎になる可能性が高いので、おかしくなったらすぐ連れてきてください、といわれました。
船長とアイちゃんは とても仲が良く、
餌のあげっこ(主にアイちゃんが貰うほうでしたが(笑))を
していたので、絶対センちゃんも危ない、と思いました。
おかしくなってからでは遅いだろう、そう思いながら
4月14日、仕事先でインコの病気についてや小鳥の病院について
インターネットで色々調べていたところ
(日曜出勤だったのでヒマだったのです(笑))
うちのすぐ近くに新しく鳥の専門の病院が開業していることを知りました。
(ありがとう!2ちゃんねる!)

すぐに電話を掛け、その日のうちに連れて行くことにしました。

先生に事情を話し診てもらったのですが
検便をしても何も出てきません。
「何の菌だったのかしら?カビだったのかしら? 」
そう聞かれて「さぁ。。。わかりません、聞いてません」と答える私。
「何でわからないのかな?検査の結果は聞いてないの?」
「検査は触診だけでした」
「何でそれでそのう炎ってわかるのおおおお><」
先生は、頭を抱えて叫びました。

結局、船長は体重を量ったら44グラム。
毛をかき分けて見せてもらったら黄色い脂肪が
おなかや胸にびっちりとついていました。

肥満です。

前の病院では、「太ってないですか?」と数回聞いたけれど
「太っていない。立派でしっかりとした体格だ」としか言われなかった。

そして、爪から血を採って検査もしてもらいました。
GOT値がとても高く、コレステロール値も予想していた程ではないが
やはり高いとのことで、肝臓疾患との診断になりました。

先生がおっしゃるには、アイちゃんもおそらくそうだったのではないか、
肝臓が悪いと、元気なときと具合が悪いときが波のようにやってくる、と。
徐々に徐々に悪くなって最後は急に逝ってしまう、と。
(アイちゃんの体重はセンちゃんよりも重かったです)

そう思うと全てが合点がいきます。
そのう炎と診断され、抗生物質を投与されても改善が見られなかったこと。
2月の嘔吐でもすぐ具合が良くなったこと。
これまでも、寒そうに膨らんでるときがあったけど
暖めると元気が出ていたので気にも留めませんでした。

もっと早くこの病院を知っていたら。
そしてもっと早く二羽を健康診断に連れて行ってたら。

そうしたらアイちゃんは今でも
大好きな船長の横でご機嫌でさえずっていたかも知れません。

結局鳥も診れる、という病院はダメなんだなと
検査をしてくれない病院はダメなんだな、と。
多分、本当にちょっとしたそのう炎程度であればおそらく治してくれると
そう思います。
ただやはりわかってない事が多すぎる。

前のお医者さんには恨みは抱いていません。
(自分の診断の下、ちゃんと手はつくしてくれましたから)
ただ、鳥も診る、という看板は降ろして欲しい、と思いました。

今回、一番悪かったのは飼い主の私。
長い間飼っているとついつい慣れてしまって
「このくらいなら暖めれば」とか思って
鳥の健康に気を配ることを忘れてしまう。
失敗は繰り返さないことが、アイちゃんへの一番の供養になると信じて
船長の肝臓疾患に取り組んでいきたいと思っています。